急性中耳炎について

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急性中耳炎とその症状

急性中耳炎は、鼻やのどの奥で増えた細菌が耳管を経由して、中耳に感染を引き起こすことによって発症します。急性上気道炎の症状(発熱、鼻みず、せきなど)の後に発症することが多い疾患です。

急性中耳炎の症状と特徴

鼻水などの風邪症状がある小児が、突然片耳の痛みを訴えるのが典型的なケースです。

  • 耳痛
  • 耳の詰まる感じ
  • 耳だれ
  • 難聴
  • 発熱

などの症状を伴います。

急性中耳炎は統計上、生後1歳までに62%、3歳まで83%のこどもが、一度は罹患する大変頻度の高い疾患です。これは、こどもの耳管が発育途上にあり、大人よりも太くて短くなだらかなせいで、病原体が中耳へと侵入しやすい状態にあるからです。また、治る過程で滲出性中耳炎に移行することも少なくありません。

保育園などで集団保育を受けている乳幼児は、急性上気道炎にかかりやすく、その経過中に急性中耳炎にかかることも多くなります。気になる症状があれば、早めに受診しましょう。

急性中耳炎が重症化

重症化すると鼓膜が破れて、耳漏(耳だれ)が生じることもあります。また、炎症が内耳に広がると耳鳴りやめまいを訴えることもあります。

急性中耳炎の検査・治療

急性中耳炎の検査

  • 耳鏡検査/耳鏡を使い、鼓膜を通じて中耳を観察します。
  • 内視鏡検査/より詳しく中耳の状態を観察します。
  • 細菌検査/主に鼻の奥の菌の種類を調べます。
  • 聴力検査/耳の聞こえ具合を調べます。

急性中耳炎の治療

お鼻の病気の治療

急性中耳炎は、鼻炎や副鼻腔炎を合併していることが多いです。急性中耳炎が軽快しても、鼻の奥に病原菌がたまっているとすぐにまた急性中耳炎にかかってしまいます。再発させないためにも、お鼻の病気の治療も併せて行っていきます。鼻水を吸い取ったり、ネブライザーといった専門器械を使用して治療を行います。

薬物療法

急性中耳炎の治療は、原因となっている細菌感染の解消(鼻・副鼻腔炎や咽頭炎の治療)が必要です。それに対して、抗菌剤の内服で治療していきます。決められた期間、抗菌薬を服用することで、急性中耳炎の原因となる細菌感染を死滅させます。局所療法として、点耳薬(耳に滴下するお薬)も併せて行うこともあります。

鼓膜切開

中耳炎によって

  • 耳の痛みが強い
  • 高熱がなかなか下がらない
  • 抗生剤を投与しても鼓膜所見が改善しない

など

上記の場合は、鼓膜切開による治療を検討します。

鼓膜を切開すると、耳の痛みや発熱の速やかな改善が期待できます。また、切開により膿を排出すると、中耳腔内の細菌を減少させることができますので、抗生剤の効果もより期待できます。鼓膜を切開した穴(穿孔:せんこう)は、中耳炎の症状が改善するとほとんどが数日で閉鎖します。ただし、まれに穿孔が残り慢性中耳炎に移行することもありますので慎重に経過をみていきます。

こどもの急性中耳炎

乳幼児の急性中耳炎

乳幼児の場合は自覚症状を正確に訴えることができないことも多く、下記の様子を示すことがあります。

急性中耳炎の発症サイン
  • 熱が下がらない
  • 機嫌が悪い、泣き止まない
  • しきりに耳を気にする(触る)
  • 耳に手を当てて泣く
  • 耳だれの付着がある
  • 食欲がない

など

これらの所見がみられたら、急性中耳炎を疑います。耳の症状は夜間に強くなる傾向がありますので注意してみてあげましょう。

急性中耳炎の頻度は成長とともに減少します。しかし、ある程度の年齢までは一度治っても繰り返しやすいこと、乳幼児期の子どもは、耳に異常があることを周囲にうまく伝えられないので、保護者の方が耳の様子に気をつけてあげる必要があることを、おうちの方は頭に留めておくことが大切です。

また、横になり頭を下げると痛みは強くなります。乳幼児で痛みが強くどうしても眠れない時には縦に抱っこをしてあげると痛みが弱まります。

※ 炎症ですので、局所を冷やすと多少痛みは和らぎます。

急性中耳炎の慢性化

急性中耳炎は、適切な処置を受けていれば完治します。しかし、完治する前に通院を止めてしまうと、治りきらずに慢性化してしまうことがあります。耳だれが出ていたり、聞こえにくい症状が続いている場合は、鼓膜に穴が開いたまま「慢性中耳炎」となります。完治するまで、しっかり治療を受けましょう。

中耳炎の慢性化を防ぐために
  • お薬が無くなる頃に、必ず受診しましょう。
  • スイミングは許可が出るまでお休みしてください。
  • 完全に治るまで治療しましょう。

こどもの耳は構造上、中耳炎を繰り返して発症しやすいです。自己判断によって、途中で治療をやめることのないように注意しましょう。

繰り返す中耳炎

治りにくい中耳炎に注意

子どもの急性中耳炎は繰り返すことも多く、抗生剤の治療が長引き、苦渋する中耳炎も多いです。たとえ痛みや発熱が解消しても、急性中耳炎が完治したとは判断できません。しっかり受診して、治癒したかどうか診断を受けましょう。

反復性中耳炎

半年間に3回(または1年間に4回)以上の急性中耳炎を繰り返します。

遷延性中耳炎

急性中耳炎の鼓膜所見が3週間以上続いている状態を遷延性中耳炎(せんえんせい:長引くこと)といいます。

難治性中耳炎

治療してもなかなか改善しない中耳炎を「難治性中耳炎」といいます。

抗生剤がききにくい耐性菌

子どもの急性中耳炎の治療では、近年、抗生剤がききにくい耐性菌が原因となるケースも報告されております。適正に抗生剤が投与されていないと中耳炎が反復し、治療が長引いてしまうことも少なくありません。

治療を行ってもなかなか治らず、耳漏(みみだれ)が改善しない場合は、難治性の耐性菌が原因であると疑います。その際は「細菌培養検査」を行い、耐性菌などを考慮した抗生剤の選択をしていきます。

痛みのない中耳炎

治った後に「痛みのない中耳炎」にかかることもあるので注意が必要です。「急性中耳炎」は痛みを伴いますが、治ったあとにかかりやすい「滲出性中耳炎」は痛みがありません。

滲出性中耳炎の主たる症状は難聴です。「テレビの音が大きい」「呼びかけても反応しない」などの様子がみられたら、一度、受診して検査することをお勧めします。

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