外耳炎とは
外耳の皮膚に生じる炎症
耳かきによる傷、引っかき傷などからの細菌の侵入によって発症します。 また傷がある状態でプールを利用したり、長時間イヤホンを使用することで細菌の侵入を招きやすくなります。
一般的に、外耳炎は黄色ブドウ球菌などの細菌による場合が多いのですが、真菌(カビ類の菌)によっておこる難治性の外耳炎(外耳道真菌症:がいじどうしんきんしょう)の場合もあります。
医療メディア監修
外耳炎とは?耳掃除で綿棒が黄ばむ、耳がかゆい・外側が痛い原因を解説
院長が「外耳炎」について監修しています。ぜひご覧ください。
外耳炎の症状・特徴
耳のかゆみや痛み・聞こえにくさ
耳のかゆみ
かいてしまうと炎症が悪化し、さらにかゆみが増してします。
アレルギー体質の方は、シャンプーなどの刺激が原因となっている場合も考えられます。
また「外耳道湿疹」を合併している可能性もあります。
耳の痛み
耳を引っ張ったり、押したりすると痛みがあります。
耳だれ
白または黄色の膿(分泌物)。
難聴(聞こえづらくなる)
外耳道が腫れたり膿や分泌物のかすにより詰まったりすると、聴力が低下することがあります。
耳鳴り
キーンと耳鳴りがする場合があります。
耳の閉そく感
耳が詰まった感じになることもあります
外耳炎の原因
外耳炎になりやすい方の生活習慣など
耳掃除のしすぎ
耳かきをしてすこし気持ちよくなる場所、外耳道の奥に迷走神経という体がリラックスする神経が走っています。その部位を刺激することで、体がリラックスして気持ちが落ち着くので日常的に触ってしまうことがあると考えられています。しかし、気持ち良いからと言って毎日耳掃除をするのはよくありません。
外耳炎の原因の多くは指の爪などで耳の中をかいたり綿棒で耳かきをしたりするときに外耳道を傷つけてしまい細菌が入ることです。外耳道と呼ばれる耳の内側の皮膚は、実はとても薄く傷つきやすいので、綿棒でこすりすぎて知らない間に耳の中を傷つけてしまっている人も少なくありません。これは比較的若い女性に多い傾向があります。
竹や金属製のような硬い素材の耳かきで起こることが多いのですが、綿棒でも触り方や頻度によっては起こります。
長時間のイヤホンの使用
新型コロナウイルスの感染が広がりリモート環境で仕事や勉強をする人が増えた最近の状況をみると、イヤホンの使用が原因となる例が目立ってきています。長時間のイヤホンの使用は耳の内部の皮膚が刺激されることで外耳炎を発症する可能性があります。
外耳炎の治療・注意点
“耳を触らない”ことが重要
分泌物などの除去や消毒
外耳道をきれいに清掃・消毒することで、聞こえづらさが解消されることがあります。
薬物療法
抗生剤の点耳薬を処方する場合が多いです。炎症の程度が強いときには、ステロイドの点耳薬・軟膏を患部に塗ることで症状が治ります。ステロイドは副作用を考慮しながら、短期間に使用します。かゆみが強い場合には、抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤、抗不安剤などの鎮痛薬の服用が必要な場合もあります。
外耳炎の治療では薬を塗るとき以外“耳を触らない”ことが重要です。
日常生活での注意点
耳掃除について
耳には自浄作用があり、耳あかなどの汚れは自然に外へと出てくる働きがあります。ですから耳掃除のやりすぎは禁物です。耳あかを取ろうとして、かえって耳の奥へと押し込んでしまうことも多いです。
米国では耳鼻咽喉科の診療ガイドラインなどに「健康な状態ならば、耳掃除は必要ない。耳の中にモノを入れるべきではない」といった内容が明記されています。耳掃除をする場合には耳の奥まで触らず耳の穴の近くでとどめておくこと・やさしく触ること・頻回に行わないようにしてください。
耳あかが詰まりやすい人は耳鼻咽喉科を定期的に受診して、耳掃除をしてもらうとよいでしょう。
イヤホン使いすぎに注意
周囲の環境が許すときにはイヤホンではなくスピーカーで音声を聞いたりヘッドホンを使ったりして、外耳道への刺激はなるべく避けるようにしましょう。イヤホンを使う場合は、長時間にならないようにすることで耳への負担を軽減できます。また付着した汚れを拭き取り清潔に保つことも大切です。
耳掛け型など耳穴に入れないタイプのイヤホンや骨伝導型のヘッドホンの使用などの工夫もあります。耳にかゆみや違和感があるときにはイヤホンの使用や耳掃除は控えましょう。