起立性調節障害とは
循環器系の調節がうまくいかなくなる疾患
- 立っているとくらくらする、なんだかフワーとする
- おなかが痛い
- 頭が痛い
- 体がだるく食欲がない
- 吐き気がある
- なんとなく自分の体でないような感じがする
など
これらの症状は、自律神経系の異常によるものです。
患者さんによっていろいろな訴えが多く、自分でもどこが悪いのかはっきりいしないのが特徴です。
そのため周りからは、「最近だらけている、なまけている、たるんでいる」などと見られがちになることも多いです。
よくある症状
立ちくらみ、めまい
小学生の約25%程度、中学生の45%程度との報告もあります。
起立時の気分不良や失神
脳貧血の状態に陥ります。起立直後の交感神経の機能が十分に働かず、低血圧状態が続きます。
午前中の気分不良
- 夜遅い就眠時間によって朝の寝起きが困難となり、午前中の体調不良が続きます。
全身倦怠感、片頭痛や緊張性頭痛を発症します。
そのほか
- 動悸や息切れ
- 顔色が青白い
- 食欲不振
- 腹痛
- 乗り物酔い
- 吐き気 など
起立性調節障害が起こりやすい時期
ちょうど小学生の高学年から高校生ぐらいの年齢で発症することが多いです。
朝起きが悪く、登校前には頭痛や立ちくらみ、めまい、腹痛などのために不登校の原因にもなるケースは少なくありません。中学生のでは約1割に存在するといわれています。
午前中の活動性が低く、夕方にかけて目がさえてくることもあります。スマホやゲーム依存となることも懸念され、夜遅くまで寝付けない、結果的に朝は起きれないなど、悪循環に陥ります。
真面目で周囲の期待に応えて頑張ろうとする子どもに多い傾向がみられ、心理的な要因が関与している場合はそのサポートも必要となります。
症状、病気の原因
症状多くは、自律神経の働きに問題があって起きることが多いです。自律神経とは、血圧や心臓、呼吸、汗、体温などの調節に当たる重要な神経であり、自分の意志では調整ができない器官です。
自律神経には、交感神経と副交感神経の2種類があり、この2つの神経が体の働きのバランスをとっています。起立性調節障害は、このバランスが悪いため、血圧の調節がうまくいかず、脳や心臓への血液が不足し、立ちくらみや動悸などの症状が出るといわれています。
影響を及ぼす因子
起立性調節障害は
- 自律神経の機能障害
- 季節や気候の変化
- 生活リズムの乱れ
- 心理社会的ストレス
など
様々な環境下において、発症(症状の悪化)します。
起立性調節障害の治療
症状や検査の結果に合わせた適切な治療を
「体も心も過ごしやすい生活環境を整えることが大切である」という考えを持ち、根気よく病気と取り組む態度が望まれます。
治療は、症状や検査の結果から、いくつかを組み合わせて行われます。
一般療法
生活のリズムを整えるため、日常生活の中で出来るものはたくさんあります。
- 早寝早起き
- 散歩などの軽い運動
- 起きる時の姿勢
- 食事の仕方 など
自律訓練法
自律神経機能を高めるために行う自宅で出来る訓練法があります。
理学療法
ストレッチ体操や、皮膚を冷水で鍛えるなどの方法が検討されます。
心理療法
いろいろ話を聞き、病気に隠されている心の問題を、本人や周りの人に気づいてもらうことが大切です。
心療内科でのカウンセリングも必要になるときもあります。
薬物療法
低血圧には血圧を上昇させる薬など、問題となっている症状に対しての投薬があります。